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A.の雑記(映画・音楽・アートetc.)
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作家チャールズ・ブコウスキーの二十代のころを描いた自伝的映画、
『酔いどれ詩人になるまえに』を見てきました。
作家ものといえば『カポーティ』のような、ニヒリズムのなかにある、ゆがんだ屈折性を作家の業として描く深い感じのものを想像しがちだと思うんですが、ところがどっこいこの映画は、ダメ男のひたすらダメっぷりなヒモ生活を見せつけるだけのアホアホ映画です。(ホメ言葉。)チャールズ・ブコウスキーの分身、ヘンリー・チナスキーを演じるマット・ディロンの半ケツをさらすほどの脱力熱演っぷりに涙が止まりませんでした。
『クラッシュ』以降の彼はキてます。神懸かり的です。『アウトサイダー』のころの青春スターな面影は皆無。なんかいつのまにか渋い演技派です。向こうの俳優って年の重ね方がうまいなぁと感心。
しかし、この映画の最大の功労者はチナスキーの恋人であり、これまたダメ女役(この映画、ほんとろくでもないやつしかでてきません。)のリリ・テイラーでしょう。歩き方、喋り方、煙草の燻らせ方、チナスキーに対する盲目的なまでの愛情の注ぎ方、そのすべてが完璧すぎるビッチっぷり。リリ姉さん…なにもそこまで役にはいりきらなくても…とほんと頭が下がる思いです。
この二人のアカンタレがおりなすダメ人間模様。
金はないし、就いた仕事は適当にやってことごとくクビ、あげくの果てはセックスに競馬三昧と、これだけ書けば実に悲壮感漂う話に落ちていきそうなもんですが、そこはヘンリー・チナスキー(チャールズ・ブコウスキー)御大!ダメダメなことには一本筋が通っている男。社会の制度や権力にはファック・ユー!!な態度を自覚なしに自然体で取り続け、酒を飲み飲み、夜は作家めざして執筆の毎日。
なんなんでしょうか?
一文無しの暮らし向きとは裏腹に悲壮感が何処かにぶっ飛んじゃってるこの感じ?
ほとほとダメな男なのに、見続けているうちになんか格好良く見えてきてしまうこの感じ…。
それは、きっと、どれだけ自堕落な生き方をしていても、自分の言葉を書き続けるという行為だけはけっしてやめないとこにあるんだろうなあ…。
何か一つ信じれるものがある人間は強い。その強さに強く惹かれてしまうんでしょう。
自分のやりたいようにやる、何処か男として羨ましくもある転落一歩手前のダメダメアナーキー人生。しかし、普通の人がこの生活実践したらきっと大ヤケド…。
奈落の底に落っこちちゃう可能性は最大級、『クロサギ』さんや『ナニワ金融道』さんとこ、お世話になることうけあいです。これはもうブコウスキーだからこそ、生き抜けた人生といっても過言ではないでしょう。
(と言いつつ、実際のブコウスキーは稼いだ金をすべて賭け事や酒に使ったりしないで、ある程度貯金してたらしいですが…。)
傑作とまでは言い切れないけれど、ブコウスキー小説の雰囲気はうまく捉えていた映画でした。 

☆『酔いどれ詩人になるまえに』のサイト↓
http://www.yoidore.jp/

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